18カラ~ノ

その12

地方で暮らす「若者」ってどうなの?~後編~

2019.03.26

<18カラ~ノ、>では、10代後半の若者が抱く将来像への理解を深めるために、昨年の2月に首都圏在住の若者に対して行ったインタビューに続き、福井に暮らす若者へインタビューを実施しました。

(実施概要)
  • 2018年9月21日(金)、22日(土)の2日間
  • 17才から20才までの福井に暮らす若者へインタビューを実施
(インタビュー対象者)
  • 福井出身で地元の大学へ通う大学1~2年生の男女
  • 同じく福井出身で地元の高校を卒業して就職した社会人1~2年目の男女
  • 福井出身で地元の高校へ通う高校3年生の男女
計3グループへインタビューを実施

今回は、福井出身で地元の高校を卒業して就職した社会人1~2年目の男子と女子が抱く将来像について紹介します。

若者らしいチャレンジ精神や現状打破したい意欲も、もちろん高い

交代勤務のライン製造に従事。社内テストを受けて別の仕事にもチャレンジしたい。

ライン製造の仕事をしている。前工程から流れてきた製品を自分の工程のところで作業し、次の工程へ持って行くという一連の作業。その工程を止めないようにしているので交代で勤務している。作っているのは携帯やPCなどの小さいものに使われる電子部品だから、細かい作業になる。夜勤で眠くても、集中力が必要。

今は機械を動かしている側なので、できれば機械を直す側に回ってみたい。会社内のテストで受かればそちらに異動することもできるので、しばらくしたらそのテストも受けてみようと思っている。

樹脂繊維の耐久テストをしている。除雪車の運転が格好良いので資格を取りたい。

樹脂繊維の加工をしている会社。運動会のテントなどの布を作っている会社で、私の部署はそれを機械で引っ張ってみたり燃やしてみたり糸の本数を数えてみたりと、理科の実験みたいなことをしている。他の部署ではフォークリフトなど特殊な資格がいるので、入社後に資格をとり、とるとお祝い金がもらえる。

除雪車に乗っている人を見ると「かっけぇな」と思うので運転したい。会社の敷地内だけなら自動車学校へ行かなくても社内で資格がとれる。年配の人ばかりなので若い人がとるのもいいんじゃないかと思っている。

部品工場でドリルをメンテナンスしている。今の会社でプログラムの仕事に就きたい。
  1. 車の部品を作っている会社で、現場を助けるための間接部署にいる。今やっているのは現場で使っているドリルをもう一度使えるようにメンテナンスする仕事。使えないドリルは廃却して新しいものを作ったりする。いろいろな大手自動車メーカーの部品を作っている。この前会社で研ぎ士の資格をとった。

    扱っている機械のプログラムを考える部署に回れたらなと思っている。給料もめっちゃ上がる。プログラムなのでPCに打ち込む作業。今やっている仕事をちゃんとミスなくできるようになれば教えてもらえる。

高校で資格を取り、各家庭の漏電点検をしている。転職はしないが工事系も興味あった。

会社は入社後半年間マイカー通勤禁止。だから電車で通勤している。各家庭を回り、漏電していないか、電気がちゃんと流れているか点検する仕事。一応資格は必要で、高校のうちにとっておいた。

自分の仕事は工事系ではないが、作る仕事も好きなので一度電気工事系をやってみたい。今の勤め先にそういう部署はないので転職するつもりはなく、やってみたかったなと思っているだけ。

大きな建築物の電気系の現場監督で資格が必要。職人にも憧れるが「ダメ」と言われる。

建築関係の現場に行って電気関係の現場監督として現場に常駐している。一軒家ではなく、規模のデカい構造物を扱っている会社。資格も必要で、一番最初は高校でとり、それが会社に入るための必須条件だった。社会人になってからも会社でとった。

私は管理の側だが職人さんと一緒に腰道具を下げて現場を回りたい。でも会社としてはあくまでも管理が仕事で、私から「こういうことがしたい」と希望は言うのだが「ダメ」と言われてしまう。

介護の仕事で今はいろいろ苦労が絶えない。資格を取ってから別のところに行きたい。
  1. 福祉関係の介護の仕事をしている。利用者さんの介護や介助をしている。声掛けやコミュニケーション術も結構必要。利用者さんは私より年配の方々なので、何か間違えると怒られる。勤務は早出、遅出、夜勤があるが、私はまだ見習いなのでずっと早出。

    介護の資格をとってからやめて別のところに行こうかなと考えている。資格をとるためには今やっていることをとりあえずやり終えないと。今の仕事の延長にあることを突き詰めていきたいとは思っている。

まとめ

今回たまたま集まってもらった福井の“働く10代”は、工場の生産ラインやメンテナンス、間接的な部署、建築の現場監督、外回りによる点検業務、介護職など、いわゆる"ブルーカラー系"の職種に就く男子・女子であった。彼らはいたって真面目で、どの仕事も資格を必要とするものが多く、高校時代に取得をしているケースが多い。働き方は夜勤や早出、現場仕事など、肉体的にもキツイと思われる仕事であった。

しかし、現状のそうした境遇に対して多少の不満はありながらも、本人たちはいたって前向きで、新たな資格の取得や現業の先にある新たなチャレンジなどに取り組む意欲を持っている。将来に対する不安を表明する声は上がらず、いつか家庭を持ち、安定した平穏な生活を手にすることをイメージしていた。

福井に生まれ育ち、今も将来も暮らし続けることに何のためらいもなく、東京や他の都市圏などへ移り住むことへ憧れも希望も持ち合わせていない。結果として、現状の生活や環境に対する満足度は非常に高い印象であった。

大学生のグループと同じ世代でありながら、上記のような考え方にはかなりギャップがあったように感じる。そこには当然ながら大学進学という要因の違いがあるが、SNSや他のメディアを通じた情報接触に大きな違いはなく、メディアとは異なる家族や友人など、身近な情報源の影響が大きいように思えた。

今回のインタビューを通じて感じたことは、10代にとっての正しい将来像というのは様々であり、都市圏の価値観を押し付けることは間違っているということ。さらに、幸せの尺度というものは人それぞれに異なることに改めて気付かされた。

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